2019年11月22日金曜日

3年生 学校たからさがしプロジェクト

3年生が図工室にやってくるなり、
「この部屋のどこかに2つの宝箱が隠されています!探してみよう!」
と投げかけました。
みんなで5分間探して、2つの宝箱が発見されました。

「さあ、今度はみんなが宝物を隠す番です」
「じゃあ、学校中を使って宝探ししようよ!」
「宝物の地図もつくろうかな!」
こうしてはじまったのが「学校宝探しプロジェクト」です。

宝物からつくる?

宝箱からつくる?
つくる順番も人それぞれ。

段ボールでつくる?

木材でつくる?

つくる材料や道具、つくる方法を、
一つ一つ自分で考えます。
めあては、「たからさがしがおもしろくなる工夫をしよう!」
ゴールは決まっています。
でも、子供たちには、その方法や迫り方は、
自分で考えて決めてもらいたいと思いました。

工作用紙でつくった宝箱
ペンで絵を描きました。

段ボールでつくった宝箱。
絵の具できれいに色を塗りました。

さあ、宝箱の中は・・・

宝物も手づくりでつくったり、拾ってきたり。

こちらは、宝探しの暗号。

暗号を解読して、宝物を探す工夫です。

そして、翌週は、いよいよ宝探し!
校内の空き教室や校庭に宝物を隠しました。

宝探しスタート。
さっそく地図を見つけました。

地図をたよりに探し始めます。
どうやら、掃除ロッカーの中にありそう。

ここかな??

校庭にもいろいろなところに宝物が隠れていました。
発見!ところが、ここには「ざんねん!ニセモノです」!!
ニセモノの箱に、本物の箱のありかが書かれていて・・・


今度こそ、発見!!

こうして、宝箱の中に入っていた「発見カード」を
黒板に貼っていきましたが、
最後まで発見されなかった宝箱も
どちらのクラスも3つ程ありました。

***
「宝探し」という大きなテーマを設定し、
一人一人が、実現の方法を試行錯誤し、
自分のやり方、自分のペースで進める
プロジェクト型題材。

みんなで足並みをそろえることが、
子供たちの創造性を育てる上で足かせになることもあります。
どうしたら、一人一人の自己決定を保障する活動ができるか。
その一つの答えが「プロジェクト型題材」だと考えています。
そして3学期も、「学校おばけプロジェクト」を計画しています!

2019年11月19日火曜日

2年生 絵を描くことは 紙の上の冒険

「今日は、絵の中を冒険するよ」
「えー? どうやって!?」

自分の絵の世界を冒険する小さな自分、
小さなキャラクターをつくろう。
カードに思い思いに冒険の主人公を描きました。

「できたら、布団に寝かせてあげるよ」

「そして、この不思議なトンネルを通ると・・・」
夢を見るみたいに、
絵の中の世界へ行けるんだ。

実はこれ、ラミネーター。
キャラクターが透明のフィルムで固まります。
そして、キャラクターたちを連れて
紙の中を歩きながら、“通り道テープ”をめぐらせます。


その“通り道テープ”の上から、
好きな色の絵の具を、ローラーで思い切り描き

そして、テープを剥がすと…

不思議な絵の中の冒険の舞台が出現!
あとは、筆を片手に、思い思いに絵の世界を描き足していく。

絵を描くことは、
筆で絵の中を歩くみたいだ。

川が流れている。
ここに公園がある。

ここに秘密のドアがあって…

色や形で、自分の世界をつくっていく。

1本1本の線、
線と線が繋がって形になり、
それが記号や絵や、時には文字になって
絵の中に、見たことのない世界が生まれてくる。

とうとう、工作用紙を使って、
立体的に描き始める。

夢中になって描き、つくっている子たちの様子を見ていると、
自分が絵を描いていることを忘れて、
自分のつくったもう一つの世界の中を旅しているみたい。
そして、そのもう一つの世界から、
こちら側の世界を見てみると、
今まで見えていた世界が、ちょっと違うものみたいに、
自分の「見方」が新しく生まれ変わってしまうような
そんな体験になっているといいな。

2019年11月11日月曜日

6年生 水の中の図工

6年生の造形遊び
2学期のテーマは「水」です。

水は、子供たちにとってとても身近なものですが、
これを材料、あるいは道具にして、
どんな造形が可能か、考えてもらいました。

第1弾は9月。
9月は、まだ気温の高い季節だったので、
“水=涼” という観点で、竹を主な材料に
「ウォータースライダー」をつくる活動です。

竹を割ったり、組んだりしながら、
水の流れ方を考えました。

途中に落差をつくることで、
水の見え方が変わります。

流れてきた水を
視覚的にどう見せるのか?


下に受け皿をつくって、
溜めるのもおもしろい。

流しそうめんをイメージして、
スズランテープを割いた材料を流しているチームも。

さらに、高さがないと、長いコースがつくれないと、
2階の外階段を利用して・・・
水が上から流れ落ちるおもしろさ、美しさ。

滝をつくることにも成功しました。

こうして、縦横無尽に竹のウォータースライダーが広がる
見たことのない造形物が現れました。

水の造形遊び第2弾は11月。
同じ水を扱うのですが、
今回のテーマは、
「ナイトアクアリウム ~夜の水族館~」。

水槽に張った水を、
ライトアップしたり、いろいろな道具を組み合わせて表現します。
水槽に透明なカップを浮かべ、
下からライトアップすると・・・

水に色が映って、美しい。

氷を表現するこちらのチームは
卵パックを利用したり、
霧吹きで水をかけて
雰囲気を出しています。

水のタワーをつくったチーム。
上から水を流すことで生まれる動きも合わせて表現しました。

金魚水槽用のポンプを使って、
水に動きを出し、
光と水のゆらぎが生む
偶然生まれた美しさに気がついていました。


***

「ゆく川の流れは絶えずして、然も、もとの水にあらず」
と詠まれるように、
水は、川の流れや海の波のようにある姿・形をとりますが、
その水は、常に流れ、動き、回り、壊れ、
次々に姿を変えます。

どちらの活動でも、
「流れ」や「ゆらぎ」のような
水という材料の性質をとらえて、
そこに造形的な価値を見出している
おもしろい活動でした。

※鴨長明『方丈記』より

2019年11月7日木曜日

5年生 ヒミツの裏庭改造プロジェクト

学校に「ヒミツの裏庭」がある。
普段は、子供たちが遊ぶことはできない、ヒミツの空間が。
今日の授業は、そこが舞台。
10月16日~11月7日の3週間限定で許可をもらい、
普段、ほとんど誰も足を踏み入れることのない
ヒミツの空間を、素敵な場所に変えてみたい。
題して「ヒミツの裏庭改造プロジェクト」。

活動のポイントは、
「場や空間の特徴を生かして活動すること」。

まずは場所選びが大切。
「ここ、木と木の間で、なんか良い感じじゃない?」
「外も見えるし、いいね!」

ポイントの二つ目は、
これまでに使ったことのある材料や道具、技を
存分に生かすこと。

材料の長さを考え、のこぎりで切っていく。

二本のケヤキの木をロープで渡したら、
何かできそうだと、
場の特徴を生かしている。

長い材料も、みんなで力を合わせて、
組み立てていく。

体を思い切り動かして、
ダイナミックにつくることが好きな5年生。

さすが! やることがダイナミック!
去年の造形遊びでの経験が、
フルに生かされている。

あっという間に、裏庭の風景が変わっていった 

テントができてきた。
このチームは、釘やビスを使わず、
ロープや紐で組み立てている。

それぞれ、自分たちの考えた方法で試行錯誤している。

大事にしたいのは、
正しい方法で、最短距離で完成・成功させることではない。
自分の経験をもとに、友達との対話を通して、
自分たちなりのやり方で、やってみること。

やって失敗して、失敗から気付き、
なんとか解決させる。
そんな、とっても回り道なプロセスの中で、
自分たちなりの価値を見つけ出すこと。

ものをつくることは、
必ずしも、先に計画や、正しくつくるマニュアルがあるわけではない。
やりながら、手当たり次第の手を尽くして、
どうにかする中で、とりあえずの「最適解」を見出すこと。

そういうスタイルの思考方法や、チャレンジ精神が、
たぶん、予測不能な未来には、必要になる。

図工の造形遊びは、そういう意味で、
これからの時代に、とっても必要な活動であると考えている。

リボンで飾り付けをし、
いよいよ完成間近。

するとそこに、
他の学校の子供たちが通りかかった。
フェンス越しに、ちょっとした会話が生まれる。

外からは、どう見えているのかな?

裏庭は、学校の外と中が隣り合わせの空間。
通りすがりの地域の方に
「何つくっているの?」と声をかけられ、説明したり、
「こんにちは」と挨拶をしたり。

そんなコミュニケーションが生まれる素敵な裏庭に
改造することができたみたい。

そして、最後はつくったスペースでのんびりして、
変身した空間を堪能していました。

いつもの裏庭は、どんなふうに変身したのでしょうか。
少しだけ紹介します。
裏庭のひみつきち

すべり台と小さな家

リボンの家


外から見える小さな小屋

生け垣のすきま基地

カラフルなハンモックハウス

NAKAJIMA House

つくったスペースは1週間程そのまま設置しておくことで、
何度も直しに来たり、過ごしに来たりしながら、
いろいろなチームのつくった空間を楽しんだ。

ひみつ基地をつくるような活動は、
子供の頃の原体験として、とっても素敵な体験だと思う。
しかし、この時代、子供たちが住む町に、
彼らがひみつ基地をつくる隙間は、どれくらいあるだろう。

空間的にも、時間的にも、
子供たちが、自ら手を加え、意味を読み替えられる
原っぱや路地や空き地のような「余白」は
むしばまれつつある。
ちゃんと守らないといけないなあと、
子供たちの生き生きとした姿を見ながら、あらためて感じた。