2017年3月22日水曜日

6年生 原点に還る

6年生、最後の図工の授業です。

原点に戻ってもらおうと、
最後に、1・2年生の造形遊びにチャレンジします。
やることは、とてもシンプル。
紙コップから発想し、創造力を働かせて、
つくりたいものをつくること。


まずは、とにかく積むことを楽しむこと。
1年生でも、6年生でも変わらない、
ただ無為に積むことの楽しさを
徹底的に味わいます。
紙コップを二本の指でつかんで、
自分で決めたところに乗せる。
実は、その間、息を止めているのです。
または、はき出しています。
つまり、呼吸が深くなります。

息を潜めて集中し、
すぐに崩れてしまう脆さと向き合います。
すぐに壊れてしまうようなものなら、最初からつくらなければいい
と思ってしまいそうですが、
人間の心理は、
崩れてしまうことを知っていて、
それでも、積み重ね続けたいと、
息を潜ませるのだと思います。

「石積み」が、様々な文化の古い遺跡に多く見られるくらいです。
根源的な衝動が揺さぶられます。
むしろ、脆ければ脆いほど、おもしろいのです。
そんなスリルを味わいながら、ぎりぎりまで挑む。
それも、6年生になったからこそできる「技能」かもしれません。

一方で、建設的に、丈夫な構造を目指す姿もみられました。
設計図を書いたり、個数を計算したりして、
形の「調和」や「安定」を見つけようとしています。
建築の始まりです。

積むという単純な作業を、どこまで多様に、ユニークにできるのか、




頭を柔らかくして創造していました。

並べ方の法則を発見することで、
形の「リズム」のようなものを見つけていました。

積み方のルールを自分で見つけることで、
「美しく」積むことができることを発見しています。

少しつつくだけで、脆くも崩れてしまう。
せめて、この瞬間を記録しようと、カメラで撮影しました。、

つくり出した形から、美しさを感じ取ることも、
6年生に働かせてほしい鑑賞の力です。

それでは、この瞬間だけしか見ることのできなかった
紙コップの彫刻群を写真でご覧ください。

<1組>
図工室が、ニューヨークの摩天楼のようです。

らせん構造

形のリズム

イスも使ってしまう斬新なアイディア


天井に届く大型作品
大きいだけでなく、細部までこだわりを感じます。

さながら「サグラダファミリア教会」のよう。
机の側面も使っています!

タワーを囲むように周りに尖塔(ミナレット?)
を配することで、全体のバランスを取っています。

ぎっしり敷き詰めて、びくともしない。
明かりを消してライトアップ!






<2組>
交互に積む!
↓下から見ると・・・
神殿のよう!

天井にたどり着いた!

輪っかになった!
それならば・・・
廊下に温泉出現!?

旗がなびいているよう。

四足歩行の動物たち
全部で13体の作品群!

丈夫な構造

絶妙にずらす、不規則の美しさ。

モダニズム建築!

建物までのアプローチにも、こだわり!

偶然から生まれた出入り口。
壊さずに中に入れますか?

「ピサの斜塔」!?


ライトアップすると!
形がつくり出すリズム。
その美しさに、息をのみます。


3組
3組では、6年生ならではの「巧みな技」を
たくさん見せてくれました。

一見、なんてことのないタワーですが、
よく見ると、今にも転がりそうな危うい構造。



紙コップを重ねたままの形で
タテ・ヨコ・ナナメ、絶妙な組み合わせ。

天井を貫きそうな塔。
安定していますが・・・
実は、塔の下は空洞!

わずかに傾いているのがわかりますか?

床とイスと机、3つの高低差をうまく生かして、
それぞれを板材で渡しているのです。
身の回りの空間の特徴を、
うまく生かしています。
ピラミッド?タワー?山脈?

植物が床から生えてきたみたい。

ツインタワー!

シンメトリー

こちらのタワー、よく見ると・・・
重ねる数を変えたり、
紙コップを傾けたりするなど、
積み方のテクニックを極めています。

二重構造


駅と駅ビル。
ジオラマみたい。

重力に耐えうるぎりぎりを探って。

自分を超えるものが、目の前に現れる喜び。
達成感。
最後の授業に、原点回帰した6年生。

4月から、図工は、美術と技術に切り分けられる。
美術と技術は、そこからさらに絵画や彫刻、デザインや工芸など、
高校・大学で、枝分かれしていき、
とうとう、ほとんどの人たちからは縁のない専門領域となってしまいます。
図工に限らずすべての教科が、同じように、枝分かれし専門化していくわけですが、
考えてみれば、小学校に上がる前は、
算数も理科も図工も、分けられてはいなかったはずです。

358時間の小学校図画工作科。
その最後の90分間を、本気で遊び、じっくり味わうことで、
もう一度、原点に立ってほしいと思いました。

いつでも原点に戻り、自由であれることが、
何かを深め極めることを、いつも支えてくれると信じています。