2017年11月28日火曜日

3年生 宇宙を描く

今から40年前(1977年)に制作された
一本の映画をみんなで見るところから
授業は始まりました。


その名も「Powers of Ten」(チャールズ&レイ・イームズ作)。
一台のカメラが、宇宙の果てから、人体の原子核の小宇宙まで、
マクロとミクロの世界を9分間の間に行き来する映像です。

この動画を見てから、3年生と「宇宙ってなんだろう?」と話しました。

(宇宙 3年生作)

「地球ってとても大きいと思っていたけど、宇宙の中ではとても小さいんだな」
「僕たちって、宇宙人なんだと思った」

そして、こんな意見が出て話が盛り上がりました。
「宇宙の果てと、人間の体の中の世界は似ている」
「宇宙ってひょっとして、誰かの体の中なんじゃない?」
「私、前にそう思ったことある!」
「えー!そんなわけないよ!」
・・・

想像や思考がグルグルと回り始めたところで、
「さあ、その続きは絵に描いてみよう!」
今日の授業は「2017年宇宙の旅」
みんな、宇宙を旅するつもりで、
自分なりに宇宙を絵に描こう!

宇宙は、謎につつまれている。
だからこそ、想像は自由にふくらむ。
描き方も、これまで使ったことのあるもので
自分で考えてごらん。



宇宙は、ビッグバンという爆発から生まれたのだという。
きっと3年生の爆発するようなエネルギーも、
そのエネルギーなんだろう。
3年生が宇宙を描いているのではなくて、
3年生の子供が、まさに宇宙なのだ。


突然、外へ出て、石を砕き始めた子がいた。
「石で宇宙の色がつくれるんです!」と言う。
なるほど、人間がつくった絵の具じゃ描けない
宇宙がつくりだした石こそ、宇宙の色なのだ。
「ほら!見てください!」
3年生が発見した石を見せてくれた。
そこに描かれた不思議な模様。
これは人間が描いていない。
まさに宇宙の絵かもしれない。


自然のものから生まれた色は、迫力が違う!
これは木炭を使って描いた宇宙。






棒ヤスリと金づちで絵を描く。

あっという間に2時間が過ぎた。
いったいどうなっていくんだろう。
3年生の宇宙も膨張し続けている。

1週間後 第2回目
その朝、日の出が綺麗だったので、
子供たちに紹介しようと写真を撮った。
日の出も宇宙の力だから。
(残念ながら、すぐに始めたいというので、
見せず仕舞い・・・)

いよいよ宇宙に星が誕生する。

そのうちに、紙粘土を使って新しい惑星をつくった子がいた。
地球の誕生だ!


綿を使って銀河を表現。














身の回りの様々な材料を使って
宇宙の絵をみんな独自に描いていく。






墨と絵の具、パステルを使って描かれた宇宙。
左右に流れるのは、天の川か、もっと他の銀河か。

石を砕いて削ってつくった絵の具から生まれた絵。
全体が宇宙にも見え、どこかの惑星に降り立ったみたいにも見える。
まさに、宇宙の旅。





思い思いの方法を組み合わせて描かれた宇宙。
3年生のエネルギーが、宇宙になって現れている。
3年生そのものみたいだ。




2017年11月14日火曜日

5年生 買い物も計画も自分で オーセンティックな学びを目指して

5年生が挑むのは「自分が座れる椅子づくり」
自重を支えるものを、自分でつくるということ。
そんなこと、できるかな?
不安そうな子供達に、次なる試練が待っています。

材料は、1400円以内で買ってください。
自分で選んで、注文書を来週の月曜日までに提出しましょう。

本当は、5年生と一緒にホームセンターの木材コーナーへ行き、
自分たちで買い物するところからしたいところですが、
それは叶わず、図工室の一角にホームセンターの木材コーナーを再現しました。

みんな真剣に材料を選びます。
計算を間違えたら、材料を手に入れられませんから、
ありとあらゆる組み合わせを考え、
自分のイメージと照らし合わせます。

A4の白紙がぎっしり埋め尽くされるくらいに、筆算を書き連ね計算する子もいました。
そうして、切実に自分が何をしたいのか、
自分が必要なものは何かを考えることになります。

さあ、自分が選んで購入した材料で椅子づくりのスタートです。
全部で6回の制作時間をどのように使うか。
そのスケジュールも自分自身で決めます。
はじめに切るか、
はじめに色塗りをするか。
それは自分次第ということです。

初めてすぐに、5年生が気がつくことがあります。
自分一人ではつくれない
ということです。
椅子という自分を支えるほどのサイズのものをつくるには、
自分一人の力でつくるのは困難なのです。

だからといって、私は最初から自分一人でつくれないとは言いません。
それは、やりながら自分で気がつくことだからです。
すると、どうするでしょう。
もちろん、近くの友達と手を貸しあうしかないわけです。

何かを創造することは、一人ではできません。
チームになって、互いに手伝わざるを得ない。
そういう状況に迫られ、
5年生は、自然に手を貸し合い、一緒につくりはじめました。

***
オーセンティックという言葉があります。
「本物の」「正当な」という意味があります。

自分で材料を買う。
自分でスケジュールを管理する。
自分だけではつくることができない、という状況に出くわす。
そういう現実的で、「本物の」状況をこちらが用意することが、
子供達を本気にさせるのだと思っています。