2018年5月22日火曜日

5年生 材料費0円 ゴミ0 何もつくらないつくり方

その日、たまたま用務さんが図工室の裏で
草木の手入れをしていました。
木の枝や草がいろいろな長さに切られて置いてあります。

「緑」と一言で言っても、
こんなに違った種類の緑があるんだなあと眺めていると、
葉っぱの形や大きさも一つ一つ違います。
これは使えそうです。

用務さんにお願いして、いただくことにしました。
さっそく図工室の教卓にそれを並べてみました。
これはきれいです。

ついでに、近くに落ちていた石や落ち葉も並べてみました。

「図工室にある多くの材料と、今日ここにある材料の違いは、
何でしょう??」と5年生に聞いていました。

「紙やテープは人工物で、これは自然物」
「図工室にも木はあるけど、誰かが切って形を整えているから木材は半人工物」
「でも、これは人がつくっていないから自然物」
いろいろな意見が出ました。

そうです。今日の材料は全て「自然物」。
人工物が、同じ色形のものを大量にコピーしてつくることができるのとは違い、
自然物は、すべてがかけがえのない唯一のもの。

見慣れているようで、
ちょっとした葉っぱでも、こうしてじっくり見てみたことって
意外にないかも。

しかも、理科の観察ではなく、
形や色として、それを造形的に見つめ直すというのは、面白いものです。
自分なりに、美しく並べて見ます。

材料を着けるのに接着剤くらいは(人工物ではありますが)
使ってもいいと伝えたのですが、
「今回は自然物だけでつくってみせます!」と
茎や蔓などすべて自然物を使使おうと意気込む子もいました。

ただの蔓では弱いからと、
何本かを縒って縄をつくっていました。

結んだり着けたりしなくても、
バランスさえ取れたら
こんなものがつくれるようです。

自然物の色形をとらえながら、
自分なりのよさや美しさを見つけてみました。

そして、できたものは
外へ飾りに行きます。
木や木の皮だけつくったこちらの作品は、
水に浮くはずだと、実験しています。

もともと外にあった自然材料を、
今回は、再び外の自然の中に展示し、
外で鑑賞会をすることにしました。
すると、風景に見事に溶け込んで、
一見、どこにあるのかわかりません。

このままここに設置しておくことにしましょう。
すると、雨風や日焼けで、それらはますます自然に溶け込み、
やがて本当に自然に還っていく。
そのプロセスも含めて、面白いかもしれません。

もちろん、持ち帰った子もいますし、
持ち帰る途中で、通学路の街路樹の根元に設置したと話してくれた子もいます。

つくって終わりではなく、
自分が手を加えたものが再び自然に還っていくまでがこの作品。

材料費は0円。ゴミもゼロ。
何もつくっていないのでしょうか。
いいや、確かにつくっているのです。

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