2019年1月14日月曜日

2年生 もう一つの世界、もう一つの時間

授業の終わりの時間が近づき、
「そろそろ終わりにしましょう」といっても、
2年生の子供たちは、活動をやめようとしない。

どうしてだろう。
子供の目で、その粘土の塊を見つめてみる。

その瞬間、私はその粘土から目が離せなくなる。
そこには山があり、海があり、空がある。
そこには、もう一つの世界があるのだと思った。

ここは図工室で、学校の1階の1つの教室に過ぎないが、
子供と粘土の間で、
そこには、幾つものミクロな世界が生まれている。

この題材では、粘土の3つの表情を自在に操ることで、
その3つの間の、新たな関係を見つけてもらい、
そこから自分なりの価値を見出してもらいたい。

その3つの表情とは
水が乾いた粘土(乾燥粘土)
水を吸い込んだ粘土(一般的な陶土)
水に溶けた粘土(ドベ)。

その3つの状態の間に、
いろいろなイメージが生まれたり、
新たな組み合わせや価値が生まれたりしていく。

乾燥粘土を取り入れたことで、
思わぬ事件が起こった。

金網で擦って、粉状にして、飾り付ける
という使い方は想定していた。
しかし、2年生の想像力は、それを越えて行った。

振りかけるということが、
「時間」を表現できることに気がついたのだ。

子供たちの世界に、雪が降ってきた。

雪は、やがて積もり、世界は凍ってしまった。

つくった世界に時間が流れ、
四季がめぐっていく。
新たな命が誕生したりもする。

なにやらつぶやいている。
その子の目の位置に立ってみる。

ここにも、もう一つの世界があった。

ここにも。
そして、子供に訊ねてみると、次々に物語を話してくれる。
そんなふうに、そこに生まれたもう一つの世界のことを思うと、
確かに「チャイムが鳴ったから終わり」とは言えない気持ちになる。

子供たちは、粘土でものをつくっているのではなく、
ものをつくることを通して、
もう一つの世界という「出来事」や、
もう一つの時間である「物語」という
「イメージの世界」をつくっている。

そんなふうに、一人一人にかけ替えのない時間が
流れていることを、改めて感じた。

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