図工では様々な道具に出会いますが、
その中でも子供達にとってもっとも魅力的な道具の一つ
それが「彫刻刀」です。
日頃、家庭で子供に包丁を使わせる機会が
どれくらいあるでしょうか?
安全への配慮から、
子供には、子供向けの道具を手渡すことが多い時代。
のこぎりや小刀、彫刻刀など、「本物の道具」を使えることは
子供たちにとってうれしいことのようです。
彫刻刀は、その名の通り「刀」ですから、
扱いには十分に気をつけなければいけませんが、
正しく安全に使うことができれば、
4年生にも十分扱うことができます。
シナベニヤをサクッ! ザクッ! ゴリゴリ! 彫る音と感触は、
何にも代えがたい不思議と心地よい感触です。
木を彫って生まれる線もまた面白い。
木くずの形も、面白い。
そんな彫刻刀の魅力にたっぷり浸ってから、
今度は、思い思いに彫ってみた板に
インクをつけて、紙に写して「木版画」をしてみます。
インクを塗ると彫った線が浮き出て見えて、なんだか面白い!
そして紙に写してみました。
絵が反転して写った!!
彫った線がこんなふうに写ることがわかったところで、
今度は、まだ手つかずの板の裏側を使って、
版画したい絵を描いて、彫ってみました。
彫刻刀で絵を描くって、難しいなぁ・・・
三角刀や丸刀、平刀などを組み合わせて、
いろいろと試しながら、
自分なりに彫り方の工夫を見つけていきます。
そして、いよいよ版画にしてみます。
今度は、使うインクの色を自由に選びました。
すると、何回にも分けて、
色を変えながら刷る子も現れました。
何色もつけて、
虹色を目指している子も。
いろいろな色を何度も何度も重ねて刷るのも
版画の面白さです。
こんなふうになりました!
ちょっとずつずらすことで、なんとも言えない動きが生まれますね。
何色も重ねることで、
夜の不思議な色を表しています。
最後に、黄色をつけて重ねれば、
「月夜の富士」が浮かび上がります。
それぞれ、刷り方を工夫しながら、
多い子は10枚以上も刷りました。
「彫刻刀で木を彫る」ということは、
手応えがあって、それだけで面白い。
これは「彫刻」の楽しさです。
一方で、版画を刷る面白さは、それとは別の魅力があります。
だから、「木版画表現」として何を表すかということから始めてしまうと、
どちらの魅力も失われてしまうことになりかねません。
彫刻刀=版画 ではなく、
彫刻刀は彫刻刀で、とことん、その感触を味わい、彫刻する。
版画は版画で、とここん、その楽しさを味わい、版画に表す。
4年生にとっては、今はそれで十分。
どちらもの魅力にたっぷり浸りながら、
その中から子供たちが、何か一つでも
表してみたい、
こんなものができて嬉しい
と思える活動になっていたらと思います。
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