2020年3月19日木曜日

5・6年生 最後の授業























4年生の時、校庭を掘って粘土を探した。
夢中になって掘り出した粘土を二週間かけて、砕いたりこねたりした。

5年生の時、硬くなってしまった粘土を土練機で何度も練った。

そもそも、1・2年生の時から、
粘土には何度も造形遊びでかかわってきた。

粘土とは、そうやって時間をかけて付き合ってきた。

粘土が焼けるところを、七輪の上で目の当たりにした。
中休みも放課後も、何度も粘土の様子を見にきた。
途中で割れてしまったもののたくさんあって、
やり直したりもした。

焼けた粘土に、アクリル絵の具で色を塗った。
窯で焼いて、釉薬も自分たちで選んでかけた。

どんな色に焼けるのか楽しみだった。
あとは焼けるのを待つだけだったけど、
新型コロナの影響で休校になった。
それと同時に、学校の陶芸窯が故障してしまった。

隣の小学校の先生にお願いして窯を借りて、
休校中に何度も通って、なんとか焼くことができた。

ほんとうは、みんなで乾杯しようと言っていたから残念だった。
結局5・6年生の最後の授業はなくなった。

残ったのは、みんながつくった粘土の形と
そこに釉薬がつくり出した色だった。

世界はどうなるのだろう?

不安がたくさんある。

新型コロナが日常を奪っていく。
思わぬ形で、僕らの日常は突然変わってしまう。

でも、粘土や、形や色という
「もの」は変わらないものとして僕たちの前にある。

いく時代かが去っても、縄文や弥生の人々の手仕事が、
たとえ破片であったとしても、ずっと後世まで残っていて、
それを僕たちが、今見て感じることができるように、

君たちが土に残した手仕事も、
どんなに時代や社会や、そして僕たち自身が変わっても、
変わらないものとして残っていく。

不易流行。
移り変わっていく世界の中で、
変わらないものとして、形と色と手触りのある「もの(作品)」はある。

それはもしかしたら、僕たちの生きる拠り所になるかもしれない。
生きている証になるかもしれない。
生きていてよかった、と思わせてくれるかもしれない。

だから、これからもつくり続けてください。
上手くつくろうなんって思わなくていい。
つくりたいままに、つくりたいものを。


(一斉休校中の図工室より)

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